思考の軌跡 試行の足跡

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シンギュラリティから考える未来の働き方

先日、アップル表参道店で「シンギュラリティから考える未来の働き方」というイベントに参加してきました。
登壇したのはSFC出身で早稲田大学政経で教えている経済学者の方でした。
シンギュラリティ とは、人工知能(AI)が人間の知能を超える世界のことです。
コンピュータの集積回路の進化の速度から逆算すると2045年にその時が来ると予測されており、「2045年問題」とも呼ばれています。
これが起きると、下記の要素を含む仕事以外はかなりの部分(9割くらい)がAIと機械に取って代わられることが予想されています。
・クリエイティビティ
・マネージメント
・ホスピタリティ

今でも将棋を指すAIや自動運転のAIがありますが、AIにも二種類あるそうで、シンギュラリティ は後者の話です。
・特化型人工知能
いま主流なのはこっち。チェスのAIはチェスしか指せない。

・汎用人工知能
人間の脳を代替できる機能を持ち、知的な処理をできる機械。
つまり人と同じことができる能力を持った人工知能

日本では、全能アーキテクチャという組織が、脳のパーツごとにプログラムを作って、統合して人工知能を作るアプローチをしているそうです。

第一次産業革命:石炭の蒸気機関による産業革命(イギリスが覇権国家に)
第二次産業革命:石油と電力による産業革命アメリカが覇権国家に)
第三次産業革命:OSやWebといったITによる産業革命マッキンゼーの『リソースレボリューション』ではこれをカウントしていないので見解が分かれるところ)
第四次産業革命 汎用人工知能による産業革命(全能アーキテクチャは2040年までにこれが可能としている)

・第二の大分岐(経済成長率の変化)
第一の大分岐は産業革命のときに起き、国家間の貧富の拡大になった。
これが第四次産業革命の汎用人工知能により第一の大分岐を超える大分岐が起きそう。

・ITの進化で失業の懸念が広がった歴史
1990年代後半のITによりアメリカではこの失業が懸念され始めた。
日本では2013年から懸念 「機械との競争」という本により懸念され始めた。

・失業者はどうなるのか?
労働者は食べていけなくなるためベーシックインカム(BI)という制度を導入することになる可能性がある。
BIとは 収入の水準によらず全ての人に最低限の賃金を例えば月に7万円支給する制度のこと。

この第二の大分岐が日本で起こせれば次の時代で主導権を握れるようになると、こんな内容でした。

ただ、シンギュラリティが起きた国=発展するという説明が、ちょっと飛躍してるなぁと思い質疑応答で質問しました。

Q.例えば日本で第四次産業革命が起きた場合、ほぼ全てがAIと機械に管理され、製品の供給効率は良くなり製品の価格が下がると思うが、かなりの人が失業し、失業者はBIに頼る中では、各家庭はエンゲル計数(全収入に対する食費の割合)が高すぎて、国内での製品の需要はかなり下がるように思います。
その場合、本当に日本が大分岐で急上昇するのかやや疑問なのですが、そこの点はどうなるとお考えですか?

A.大分岐で急上昇するのは需要を考えず、供給だけ考えた場合の話なんです、またBIの額次第で成り立つようになると考えています。例えば先ほど7万円と言ったが、月15万円にすれば良くて、マクロ経済的にはここが鍵だと考えている。

すでにマイクも回収されていて次の質問に移ってしまいましたが、仮に9割の人が失業してBIに頼った場合、国としての所得税収は見込めなくなり、消費税も落ち込むことが予想され、法人税を上げるのかに関わらず、日本人を雇用する必要もないためほとんどの工場は海外へ移転するかもしれず、法人税収もますます目減りするかもしれない。その場合、財源はいったい何処から来るのか疑問に思いました。

マクロ経済的に鍵だと思っているなら、なぜ最初から15万と言わず7万と言ったかも疑問で、あまりそういったことが想定されないまま、技術だけが未来に向かって突き進んでいるように感じました。

おそらく前倒しになるとは思いますが、いま30歳で、あと30年でちょうど2045年になります。
いったいどういう未来になっているのか少し怖くなるイベントでした。

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