思考の軌跡 試行の足跡

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福翁自伝読了

最初の4割は自由奔放な幼少時代を過ごしたという内容で読むのに疲れましたが、最後まで読み終わった時は「すごい本を読んだなあ」というのが感想でした。

なぜそう思ったのか。
Kindle PaperWhiteで読んだのですが、読み終えた直後、いま自分がKindleを持って、今のスタイルの日本語でこれを読んだのはこの人がいたからだと感じたからだ。

もちろん、福澤諭吉がいなくても文明開化はしただろうがきっと違う形でしていたに違いない。
さらに、福澤が英語から造語した数々の日本語に単語も異なる単語になっていただろう。

一身独立して一国独立すを体現した人生。
慶應義塾という知的集団を作り出し、優れた人材を育成し、日本を支える一翼を担う組織を作った人間。
この人が、この組織が存在しなかったら良くも悪くも、きっと違う日本になっていただろう。

また、最後の方に少しだけ大隈重信が出てくる。
この本には書かれていなかったが、犬猿の仲だった二人が出版社が主催した酒宴の席で、福澤が大隈に学校をやること奨めたのがきっかけで下野した後、早稲田の前身となる学校を設立し、開校式には福澤も出席したというエピソードを思い出した。

正直、この言葉が響いたという文章は他の本に比べかなり少なかったが、言葉より数々のエピソードに関心し、驚き、納得した一冊でした。
日本人として人生で一度は読んでおいた方がいいと思う書籍です。
(時間のない方は最初の4割は読まなくてもいいと思います)

また、岩波版の原文を読んだので、読むのに時間がかかりましたが、約100年前の日本語のシャワーを浴びたためか、50年前に翻訳された岩波版のプラトン『饗宴』の日本語がかなり読みやすくなった。
これもまた、この本を読んだ効用であった。

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